真面目なあたしは悪MANに恋をする

乾いた笑いで、誤魔化そうとすると、片岡君の唇が重なってきた

「ごめん…僕も、葉南に嘘をついたから。葉南だけを怒れないよ」

片岡君がぎこちない顔で微笑んだ

「え? だって大学の友達って」

「まあ、男のほうは、ね」

「じゃあ、女の子は?」

「幸助ってヤツの幼馴染の友人らしいよ。僕も席に着くまでは知らなかったけど。合コンだって」

「そ…そうなんだ」

あたしは、頬の筋肉がひきつるのがわかった

あんな大きな胸を見せていたのは、合コンで気合いが入ってたんだね

「葉南、もちろん、一次会で帰るよね?」

「たぶん」

「『たぶん』?」

片岡君の声がまた低くなった

「だって、わからないよ。先輩によるけど……って、片岡君は?」

「僕はあと1時間で帰るよ。葉南を駅まで迎えに行きたいから、酒も飲んでないし」

「そうなの?」

「そうだよ」

片岡君の唇があたしの耳たぶに触れた

「一次会で帰ってこなかったら、僕…怒るよ」

片岡君があたしから離れると、にこっとさわやかな笑みを見せて店内に入って行った

「ちょ…ええ?」

『怒るよ』って言われても、困るよ

怒らないでよ