「今日は、妻とデートだってさあ」

マサが、何も言わずに出て行って透理にかわって、篤樹に補足説明をした

「だからってなんで俺?」

「兄弟がいっぱいいるからじゃない?」

ケンも携帯で話しながら、会話に参加してくる

「あ…まあ、いますけど。ガキのおむつとか…ミルクとかやってましたけど」

篤樹は納得いかないなあという顔をしながら、まだ小さい理菜を片手で抱っこしたまま居間を出て行った

16歳の高校生なのに、赤ん坊の抱っこはまるでどこかの父親のように慣れている篤樹を見送った

「篤樹君って、何人兄弟?」

「4人。一番下が双子で、まだ2歳なんだ。だから子供の世話は上手だよ」

僕が言うと、葉南が納得したようにうなずいた

「そっかあ。だから抱っこが慣れてるんだねえ」

葉南がにっこりと笑った

「チョーの子供はいつ生まれるのかなあ?」

電話が終わったケンが、にやにやと笑いながら問いかけてきた

「僕たちより、ケンやマサたちのほうが早いんじゃない?」

「もしかしたら透理の二人目のほうが早いかも?」

マサがにっこりと笑う

「可能性大だね! あそこはもう結婚してるしなあ。何回妊娠しても問題なっすもんねえ」

ケンがうなずいた

「ケンケンだって、結婚すればいいじゃない」

葉南が不思議そうに首を傾げた

「駄目っすよ。リンの仕事が順調なんだから」

「順調だからこそ、結婚すればもっと良い方向に進むかもしれないのに」

マサがケンの肩をたたいた

「リンに足かせをつけたくないんだ。結婚したら、まわりから『子供は?』って思われるだろ? それがストレスになって欲しくない」

ケンが肩をすくめた