真面目なあたしは悪MANに恋をする

-リンside-

私は携帯を握りしめたまま、ベッドで横になった

ケンに電話をしようかどうしようか迷っている

私、ケンにすごく失礼な態度をとってしまった

不良には偏見がある

だからって、ケンがイコール悪い人間ではないとわかっているはずなのに、ショーに乱入してきた暴走族の重なって見てしまった

ケンは真面目で、人を貶めるような人ではないってバイトで見てきているはずなのに、赤いツナギの人たちと話しているケンが別人に見えた

やっぱり駄目だよね

このままってわけにはいかないよ

私は携帯の液晶を見つめると、ケンのアドレスを引き出した

通話ボタンを押して、耳にあてると、呼び出し音が聞こえてきた

お願い…出て

『も、もしもし?』

ケンの不思議そうな声が聞こえてきた

「あ…あの、リンだけど」

『え? どうして? ちょ…ちょっと待ってね。今、カラオケボックスにいるんだ。静かな場所に移動するから、このままちょっと待ってて』

電話の向こうから、男たちの声が聞こえている

なにやら楽しそうに騒いでいる

3分くらい待っただろうか

カラオケ店の外に出たのか

まわりがすごく静かになった

『もしもし? 待たせてごめん。どうしたの?』

「あ、うん。謝りたくて。ケンに失礼なことしちゃったから」

『失礼?』

「ごめんなさい。不良って言ったの…傷つけるつもりじゃなかったの。ただショーに乱入してきた奴らと重なっちゃって」

『いいよ。別に。あいつらと大してかわらないし』

ケンの明るい声が聞こえてくる

ねえ、どんな顔をそんな言葉を言っているの?