真面目なあたしは悪MANに恋をする

リンが呆れたように、ため息をついた

「ごめんねえ。俺の仲間たちって、すぐ勘違いするんだよなあ」

「仲間?」

「そ。俺の大切な仲間。ショーが荒らされてるって知って、助けに来てくれたんだよ」

リンの目が冷たくなった

「ケンって不良?」

「世間ではそう言われるかな。良い子ではないのは確かだよ。ごめん。イヤだよね、こういうの。ほんと、ごめん。バイト、辞めるから。バイト代もいらないから。そう言っておいて」

人目も気にせず、俺はキャラクターのスーツを脱ぐとリンに渡した

「透理さん、乗せて」

「ええ? 野郎を乗せるのってあんま好きじゃないんだけどぉ」

「いいじゃんか。俺、今日バイクで来てねえし」

俺は無理やり、透理さんのバイクの後ろに跨いだ

「ちょ…っと!」

リンが俺に近づくと、口を開く

「俺のバイト代で、リンが病院に行きなよ。じゃ、バイバイ」

俺はにっこりと笑うと、透理さんの肩をたたいた

これで、いいんだよ

リンの顔には、族はイヤだって書いてある

不良は好きじゃないって

俺は不良だから…リンには釣り合わない

良い子にはなれない過去がある

リンのような、綺麗な心の女性とは付き合えないよ

ごめんね……ごめん