カラオケで赤族のツナギを着てケンが熱唱している

畳の広い部屋には、チョー、ハナちゃんが寄りそうに座って、茉莉が眠そうにテーブルに顔を伏せている隣にマサが座っていた

マサは、バイトで疲れている茉莉の背中をそっと撫でていた

俺はケンの曲に合わせて手を叩いていた

「走りに行かない日は、カラオケで朝までコースなんて、ケンケンは暇だよねえ」

マサが迷惑そうな顔をして、ケンのほうを見た

「いまだにマサは付き合ってるの?」

俺の質問にマサが肩をすくめると、口の端をさげた

「俺が付き合わないで、誰が付き合うのさ。あのヒマ人にさ」

マサがケンに指をさす

チョーはバイトと学校、それ以外の時間はハナちゃんと会ってるし

マサは、夜は茉莉ちゃんが仕事で会えないから、終わるまで時間があるからね

便利屋の仕事なんてしに、チョーの家に行ったら、付き合わされちゃうねえ

俺も大学とバイトと…で、最近は赤族のほうに顔を出せてないから

「よく来たよね。大丈夫なの?」

マサが俺の肩に手を置いた

「何が?」

「最近、忙しそうだったから」

「まあ。ちゃんとしたバイトを始めたからねえ」

「『ちゃんとした』…ねえ」

マサがぴくっと眉を持ち上げた