真面目なあたしは悪MANに恋をする

ショップでのバイトは、疲れる

もともと人と話すのって、面倒くさい

人を負かすために会話をするなら、楽しいって思えるし、話していても何の苦にもならない

だけど、ただ慣れ合いのために出す言葉は面倒くさいよね

似合ってない服装を褒めて、気に入ってそうなアクセサリーを薦める

買いモノとは到底関係ないだろっていうような会話に耳を傾けて、相槌を打つ

買ってもらうための一つの手段なのだろうけれど、俺には気が重くなる

嫌味の一つでも言えるならまだましだ…が、客にむかって褒めることはあっても貶すことは絶対にしてはいけない

俺の売上があがっているし、まあまあバイト代も良いから続けているけれど…俺から見て、この仕事はあまり合っていないように思える

「あ、いたいた! マサ君、今日は何時まで?」

セーラー服姿の2人組の女子高生が、店内に入ってくると俺に手を振ってきた

俺は、乱れている服をたたみ終えると顔をあげて、セーラー服のスカーフに目を落として微笑んだ

「いらっしゃいませ。今日は閉店までだけど?」

「なあんだ。カラオケに行きたいと思ってたのにぃ」

セーラー服の一人、萌香が残念そうにつぶやいた

「カラオケに行く前に、学校に行けよ」

俺が口を開くと、萌香が肩をすくめて笑う

「えー、面倒だし。塾に行ってるからいいじゃん」

「塾と学校は違うだろ」

「まあ、違うけどさ。塾のほうが楽しいんだよね。先生と会話が弾むし、気に入ってる先生に勉強を教えてもらえるからさ」

萌香の言葉に、相方の律子が大きく頷いた

「学校ってつまんないしね。塾だと、宮川っちがいろいろと教えてくれんだよねえ」

「宮川?」

俺は聞き返した

「そうそう宮川茉莉っていう女の先生。勉強より、化粧とか服の組み合わせ方とかばっか質問してるけど」

萌香が「あはは」と笑いながら、話しをしていた