真面目なあたしは悪MANに恋をする

鼻の奥がツンとすると、しゃくりあげる

「大丈夫?」

片岡君が心配そうに顔をのぞかせてきた

あたしはコクコクと頭を上下に振る

「僕は葉南さんが好きだよ。ずっと一緒に居たい。葉南さん以外の女性はいらないって思うくらい、葉南さんがいいんだ。でも葉南さんはどうだろうってずっと思ってた。今回のことで、葉南さんに、僕との今後をじっくり考えて欲しかった。僕自身、葉南さんからの想いに自信が持ちたかった。僕と同じように、葉南さんも『僕がいい』って思っていてくれるって思いたかったんだ」

片岡君が、恥ずかしそうにほほ笑んだ

「昨日の夜、メールが来なかったらどうしようって不安だったよ。もし…親に反対されるくらいなら、僕との恋愛は諦めるって考えていたら、どうしようって。怖かった。メールが来た時は、すごくうれしくて、今夜のことを想像して眠れなくなったよ」

片岡君が、ココアのキャップを外すと、ごくりと喉を鳴らして飲んだ

「あたしは…このまま片岡君からずっと連絡が来なかったらどうしようって不安だった」

小さな声で、あたしは言葉にする

片岡君がぎゅっと手を握りしめた

「そう思ってるかな?って思ったよ」

「でもね。昨日、お父さんに聞いたの。片岡君が、お父さんやお母さんに会って、あたしたちの交際の許可をもらおうとしてるって」

「え?」

片岡君がくるっと頭を動かした

あたしは顔をあげると、片岡君の横顔を見つめる

片岡君は、耳まで真っ赤にしてあさっての方向に目を向けていた