真面目なあたしは悪MANに恋をする

「お母さんがどういう答えを出すか…お父さんにはわからないけれど。お父さんが思うに、片岡君って人は良い青年だと思うよ」

「知ってるの?」

「ああ。仕事帰りに、何度かマンションの下で話しかけられた。お母さんのところにも通ってるって言ってたよ。自分をわかってもらうには、これしかないと思ってるって。葉南には内緒で…って言われたけど、落ち込んでる葉南を見てたら、お父さんは黙ってるなんてできなくてね」

片岡君が…お父さんとお母さんに会いに行ってたの?

片岡君と連絡がとれなくて、一人で落ち込んで暗いことばっかり考えてる間に、片岡君は自分自身を理解してもらおうと努力してた

あたし…わかってもらえないお母さんから逃げようと、そればかり考えてたのに

片岡君はやっぱり凄い人だ

あたしより、ずっとずっと大人だよ

しっかりしてる

「お母さんが交際を反対している理由を聞いたよ。きっとお母さんも辛いんだと思うよ。娘には幸せな生活をって思うでしょ? 誰でもさ。片岡君が不幸にするって確証もないけど、幸せにするっていう確証もない。人となりを判断するのは過去の行いが材料となる。片岡君にはちょっと不利だよね。でも片岡君はそれを理解してる。だから葉南の見えないところで頑張ってるんじゃない? 葉南と一緒に居たいって思ってるから」

あたしは大きく頷くと同時に、涙をこぼした

あたし…やっぱり片岡君と一緒に居たい!

お母さんにわかってもらいたい

お母さんに、片岡君を知ってもらいたい

お母さんに片岡君との交際を認めてもらいたいよ