真面目なあたしは悪MANに恋をする

駄目だ…このままじゃ…

あたしが部屋に閉じこもっても、お母さんが片岡君とのことを認めてくれない

あたしはぐっと手を握りしめると、深呼吸をしてまた部屋を出た

大股で廊下を歩いて、居間に行く

頭を抱えたまま、固まっているお母さんを見ると、あたしは立ったまま口を開いた

「片岡君は、翔君って人を殺してなんてないよ。虐めグループに、虐められたくなくて翔君って子を虐めたけど、そのことを悔いてた。だから止めようと思った日に、虐めグループと喧嘩になって、片岡君が屋上から落ちそうになったの。それを助けてくれたのが翔君って人で、助けたことで亡くなってしまった…そう片岡君が言ってた」

お母さんの顔色をあたしは見る

じっとしてて、お母さんの動きがわからない

「今も片岡君は苦しんでるよ。学校にも受け入れてもらえなくて、孤独な学生生活だし…」

「嘘なんていくらでもつけるでしょ」

お母さんが低い声で言った

ナニ…それ

なんで信じてくれないの?

「だから嘘をつけるような…」

「あんたが屋上での出来事を見たわけじゃないでしょ。お母さんは、翔君が落ちた遺体を見ているのよ。あの子たちの毎日を目にしているのよ」

「でも、片岡君は嘘をつける人じゃない」

「何も見てないから、そう言えるのよ」

「見てなくても…片岡君は嘘は言ってない。嘘を言って、私を騙した男から救ってくれたのは片岡君だった。バイトで、帰りが遅くなる時はいつもマンションの下まで送ってくれたの片岡君だった。友人を大切にしているし、友人からもアツい信頼もされてる。そんな人が、嘘をつくなんて思えない」

「葉南は人を疑わないから、そう見えるだけよ」

「どうして信じてくれないの?」

あたしは首を横を振った

お願い信じてよ

あたしの言葉を信じてよ

片岡君のこと…ちゃんと見てよ