真面目なあたしは悪MANに恋をする

あたしは忘れてた

お母さんの働き先を…

だってお母さんは、仕事の話をしないし、あたしも気にしてなかったから

玄関のドアが開き、お母さんと片岡君の表情を見て…あたしはお母さんの職業を思い出した

【中学校教師】

「片岡君?」

「鈴木先生…」

二人の視線が絡み、そして最初に目を外したのはお母さんだった

「葉南…どういうことかしら?」

お母さんが、冷たい目であたしを見てくる

「えっと…あたし、片岡君と」

「駄目よ。許しません」

質問しておいて、最後まで言わせてくれないなんて…

「バイトが一緒でね…それで」

「片岡君、今後うちの娘には話しかけないで頂戴」

お母さんはあたしの腕をぐいっと引っ張ると、玄関のドアをばたんと荒々しく閉めた

「お…お母さん!」

鍵を閉めて、チェーンまでしっかりとかけたお母さんは、スリッパも履かずに家の奥に入った

「葉南、来なさい!」

「…はい」

あたしは肩をがっくりと落として、家にあがった

お母さん、片岡君のこと知ってたんだね