カーテンの隙間から、朝日の光が漏れているのに気がついた

もう…朝?

ぼざぼさの髪を掻きあげると、布団の端に座ってシャツに袖を通しているマサの背中を見つめた

「もう…行くの?」

「うん。コンビニのバイトがあるから。夜、また来ていい?」

私が頷くと、マサが嬉しそうにほほ笑んでくれた

「葉南さんにちゃんと連絡するんだよ。あと…ご両親にも」

「それは……」

私は首を横に振った

「なら、親にだけ。ちゃんと生活してるって電話してよ。葉南さんには俺から話をしておくから。いいね」

「…わかった」

マサが頷くと、横になっている私の頬に触れた

「じゃあ、行くね。バイト、頑張ってね」

マサは私の額にキスを落とすと、立ち上がった

腕には白い包帯を巻いている

痛々しい腕の傷に、殴られた頬の痕

3か月前のマサは、まだまだ幼い男の子だったのに…な

今見るマサは、男の顔をしてる

口が達者で、傷つける言葉ばっかりぽんぽんと出てくる嫌なヤツだと思ってた

けど…今は違うね

「マサ」

「ん?」

玄関で靴を履いていたマサが振り返った

「ありがとう」

「何が?」

「見つけてくれて」

「言ったでしょ? 俺、茉莉を中心に世界が回ってるって」

白い歯を見せてマサが笑うと、部屋を後にした