「んじゃ、決まりだね。葉南は片岡君とホテルで、私はマサ君と買い物!」

私は明るい声で口を開いた

「茉莉、あたしたちだって買い物だってば」

葉南も赤い顔をして、言ってきた

「そうと決まれば、さっそく買い物をしよう!」

私はマサの手を振り払って、席を立った

「待ってよね。これを片付けないと」

マサが慌てて立ち上がって、トレイを持った

「ほらほら、早くっ! 葉南、じゃあね」

私は葉南に手を振ると、すたすたと人ごみの中に入っていった

このまま、帰っちゃおうかな

人ごみにまぎれて、存在を隠して…そしたらマサも私を見つけられないでしょ

迷子になったって葉南にメールして、家に帰っちゃってもいいよね?

家に帰ったら、私の部屋ってまだあるのかな?

妹に占領されてたりして……あり得る!

妹のアイドル写真で、私の部屋が埋め尽くされてて…私の場所がなくなってるの

私の場所はどこにもなくて…

そう、どこにもない

結局、ないんだよね

私の場所って

葉南みたいに、片岡君の隣にあるってわけじゃない

短大に行けば、あの輪の中にあるってわけでもない

家にも…たぶんない

私って、自分のいるべき場所を探しておきながら、どこにも場所がないことを確認している気がする

どこにもないってわかってるのに、どこかに求めてる

求めてるのに、なくて…また失望して、誰かの居場所が奪いたくなるんだ