真面目なあたしは悪MANに恋をする

「ところでさ。なんで牛乳を持ち歩いてるの?」

葉南さんが自分の前に置いてあった牛乳パックをつつっとマサの前に移動した

「え? さっき裏で買ってきたんだよね」

「ウラ?」

葉南さんが首を傾げる

「そう裏。4階にあるショップでバイトしてんだよね。んで、終わったから自販機で、牛乳買ったの」

「そうなんだ」

葉南さんが納得したように何度も頷くと、僕の顔を見た

「知ってたの?」

「うーん、忘れてた。たぶんマサからは聞いてるはず」

「チョーって意外と、聞いてそうで聞いてないときってありますよね」

マサが「あはは」と笑うと、ストローで牛乳を一気に飲み干した

ずずっとストローに空気のはいる音がすると同時に、女性たちの甘い声が聞こえてきた

「あっ! マサ、ここにいたんだぁ」
「せっかく買い物に来たのに、店にいないなんてずるいよ」

僕たちのテーブルの前に、金髪の子と赤い髪の子が立った

派手な子たちだなあ

僕は、眩しくて思わず目をそらしたくなるような派手な服を着ている女の子たちとマサを見比べた

マサはにこっと女の子たちの顔を見ると、微笑んだ

「あ…ごめん。今日、もう終わりだから」

「えー、ずるいんだけど」

「ずるくないし。あ、俺と同じヤツ、買ってくれたんだ」

金髪の女の子が身につけているチェーンのネックレスを指さして、マサが笑う

「そうだよ! おそろなんだから」

仲良く話しをしているマサの隣にいる茉莉は、下を向いて固まっていた