「こんなところで何をしているのかなぁ?」

ケンケンの手が、寺島君の頭の上にぽんと乗っかった

「べ…別に、買物ですけど」

「ふうん」

息をきらして追いついた片岡君が、加藤さんのほうに視線を送った

加藤さんも驚いて、手をあげて首を横に振る

『俺は…関係ないです』て言わんばかりの顔をして…上からしっかり見られてたんだから、今更他人のふりはないでしょ、なんてあたしは思ってみる

「行けよ。怪我したくないだろ」

加藤さんはコクコクと頭を上下に動かしてから、小走りで逃げて行った

相変わらず…逃げ足は速い人だなあ、なんて小さくなる背中を見送った

「偶然なんだよ」

あたしは片岡君の顔を見た

「そんなの、わかってるよ。問題は……」

片岡君の視線が、ケンケンにいった

「ケン、買物に戻るぞ」

片岡君がケンケンに声をかけた

寺島君がほっとする顔が垣間見えた

「嫌だね」

ケンケンは寺島君の肩を抱いて、にやりと微笑んだ

「ねえ、ここで何をしてたの? 何をしようとしてたのかな?」

「ケンっ!」

片岡君が低い声で怒鳴る