「せっかく弟を見にきてやった兄に対する態度かよ」

「邪魔扱いしたのはそちらでしょ?」

俺は兄さんから視線をそらして前を見ると、目の開いている茉莉と視線が絡み合った

「あ…」

俺は思わず口を開けたまま、茉莉を見つめた

茉莉は俺と、兄さんを交互に見てから俺に視線を落ち着かせると、キッと睨んだ

「嘘つき」

「は?」

「駅まで送ってくれるって言ってくれたのに」

「ああ…」

言いましたね

確かに、俺は『駅まで送ってもいいけど』って言ったよ

だけど、あのときの選択は間違ってなかったはずだよね?

ケンケンと茉莉は付き合ってるんだから、俺が送る必要はないよね?

ケンケンがいるんだから

「『嘘つき』ねえ」

兄さんが嬉しそうに顔を緩めると、俺の肩に手を置いた

「触らないでほしいですねえ」

俺は兄さんの手を振り払った

「君さあ、こいつと付き合ってるの?」

兄さんが俺を指でさしてきた

いくら双子だからって、失礼な人だ