『はあ』とまたため息をつくと、ケンケンが悲しい目をした

「俺、死んだ妹を愛してるんすよ。再婚した義父の娘だったんだけど、可愛くてすげー好きで、誰にも渡したくなくて…妹も俺を好きって言ってくれて、親に内緒で付き合って…でもそんなんすぐに親にバレるんすよね。んで、両親が離婚して、ちょー険悪っすよ。妹も自殺未遂を繰り返すようになって…あいつの最期は俺んちの風呂場でした」

ケンケンが鼻をすすると、涙を流しながら笑みを見せた

ケンケンはすぐにあたしから視線をそらして、空を見上げる

「真里って名前で…きついっすねえ。久々に、ガツンってきたっすよ」

片岡君が、ケンケンの肩に手を置いた

「無理するなって」

「わかってるんすよ。俺が全部いけなかったって。欲望のままに、理性を忘れた俺がいけないって。義理っつっても妹だったんすからね。ホントに、情けねえっすよ」

ケンケンは片手をあげると、よろよろと足元をふらつかせながら家の中に入っていった

大丈夫なのかな?

あんなケンケン、初めて見たよ

一人にして平気?

「片岡君…」

あたしは片岡君の顔を見て、眉尻を下げた

片岡君はこくんと頷くと、ケンケンが入っていったドアに視線を動かした

「ケンが乗り越えるしかないよ。僕たちには何もできない」

片岡君は首を横に振った

「苦しい気持ちはわかるよ。でもケンの苦しみは、ケンが処理するしかないから」

「うん」

あたしは頷くと、片岡君の手にそっと触れた

ケンケンも茉莉も、早く元気な顔を見たいな