真面目なあたしは悪MANに恋をする

「あのとき、あいつがペンを刺してなかったら、僕も死んでた。屋上から僕も、あいつと一緒に落ちてた。あいつが死んで、僕だけが生き残って……僕は殺人犯にされた。教師もさ、薄々、いじめがあったのを知ってたんだろうね。虐めグループが全員、口裏を合わせて、僕に罪を押し付けた。父が、金と権力でもみ消したけど、僕の心に残った想いは消えないよ」

「片岡君……」

「高校も遠い学校にしたのに、情報は簡単に漏れるもんだよね。僕は友人もできないまま孤立した。授業に出なくていいから、問題だけは起こさないでくれって教師に頭を下げられたよ。人を死なせないでくれってさ。笑っちゃうよね。50代の教師がさ、15歳だった僕に頭を下げたんだ。必死な形相で。だから、僕はただ学校に行くだけ。朝礼に顔を出して、あとは自由時間。終礼でまた席に座って、帰ってくるだけ。意味のない学生生活なんだ」

片岡君があたしから離れると、苦笑する

瞳を赤くしている

涙が目に溜まっているのに、流れおちてくることはなかった

「辛かったでしょ? ずっと一人で…抱え込んできたの?」

「まあ…ね」

あたしはまた片岡君をぎゅっと抱きしめた

あたしのほうが先に、涙をこぼす

片岡君が、他人にたいして誠実なのは知ってる

バイトでの片岡君の姿も、赤族の長としての片岡君の姿も見てきたから、嘘をついて自分を偽る人じゃないってわかってる

だから、あたしに話してくれたことは片岡君の身に起きた事実だって信じられる

片岡君はずっとひとりで、辛い過去と背中合わせにして生きてきた

誰にも理解してもらえずに、今日まで過ごしてきたんだ