真面目なあたしは悪MANに恋をする

意外にも、片岡君からのメールは早かった

メールを送ってから5分もなかったと思う

鞄の中で、バイブが鳴っているのがわかった

あたしは机の下で、携帯を開いた

『タイトル:良かったですね』

『理解してくれる友人が一人でも多いと、それだけ心強くなれますから。詳しくはバイトが終わった後に教えてください』

片岡君も授業中じゃないのだろうか?

高校生って、授業中にメールしてたら怒られるよね?

…って短大だって同じだけど、なんか大学のほうが規律がゆるいっていうか

高校だと、携帯の没収とかあるような気がするんだけど…片岡君の高校も緩いのかな?

携帯と閉じて、鞄の中にしまうと、知美からメモ紙が飛んできた

え?

あたしはメモ紙を開くと、知美の顔を見る

知美はにやにやと笑って、あたしを見てから前にいる大学講師に目を向けた

『今のは彼氏から? そういえば「いろいろあって」って言ってたじゃん。「いろいろ」って何? すんごい気になるんだけどぉ』

あたしは顔を緩めると、メモ紙の下に文字を追加していった

授業中、ずっと知美とあたしはメモ紙のやりとりが繰り返された

あたしが書き終るたびに、そのメモ紙が、仲良しメンバーにまわり、みんなが目を通してはにやにやと目尻を下げて笑っていた