真面目なあたしは悪MANに恋をする

「片岡君?」

あたしは首を傾げて、片岡君の背中を見つめた

「僕も一応、健全な男子高生なので…」

片岡君が小さな声で、呟いた

「え?」

「だから…その、好きな人に『王子様みたい』って言われて、『ありがとう』って受け流すほど大人じゃないっていうか」

「あ…もしかして、あたし、気分を害すようなこと言っちゃった?」

「違くて…その逆ですよっ!」

「逆?」

あたしは口を曲げて、考えようと視線をあげた

いつもならスッと想像できる頭も、酔って回転が鈍くなっている

『王子様』より『王様』のほうが良かった?って頭で考えていると、片岡君があたしの前に立って、キスをしてきた

片岡君の温かい唇とあたしの冷たい唇が重なり合う

え? ええ? 何が起きてるの?

一気に酔いが醒めていく気がした

片岡君の唇が離れると、ぎゅうっと抱きしめられた

片岡君の胸があたしの眼前にある

黒のハーフコートがあたしの視界を支配した