真面目なあたしは悪MANに恋をする

『妊娠してたら、葉南のせいだからねっ』

茉莉の言葉が、なかなか耳から離れず、ふとした瞬間に思い出しては、気が重たくなった

年末は6時で店を閉めて、駅前の飲み屋で忘年会をする予定だった

店には6時半から予約を入れてくれているみたいで、12時からラストまで入った私は、そそくさと帰り仕度をして、飲み屋に向かった

2時間の飲み放題コースで、料理も次から次へときて、美味しかった…はずなのに、あたしには味がよくわからなかった

茉莉の言葉が、胸に突き刺さったまま、苦しくて食事の味がわからなかった

あたしのせいじゃない

茉莉のせいであって…あたしを責められても困る…ってわかってるのに、茉莉の言葉が鋭利な刃物ように突き刺さったまま抜けなかった

飲み会が終わって、それぞれが帰り道へと歩を進めた

あたしも帰ろうと前に足を出すが、うまく歩けずにふらついた

コンクリートの地面が柔らかい泥沼になったみたい

「飲み過ぎです」

ぐいっと腕を掴まれると、頭上から声がした

あたしは顔をあげると、片岡君の顔を見てニヘラァと顔を崩した

「片岡君、あたしの話ぃ…聞いてもらえる? 心が痛くて、つらいよぉ」

片岡君の手が離れると、あたしはその場に蹲った

腕に掛けていたロングコートで、自分の顔を隠すと、深いため息をついた