玄関のドアノブを回してみる。
…鍵掛かってるよ。お母さん出掛けちゃったのかな?
スペアキーで鍵を開けて中に入る。
「おかーさん?居ないの?」
シーン…。
はぁ。やっぱり出かけたのか。最近写真にハマり始めたうちの母・ゆいか。
一眼レフを、お父さんのボーナスから惜しげもなく買って
毎日のように出掛けてはピンボケした写真を撮ってくる。
「難しいんだからね、これ!デジカメみたいにピントを自動で合わせてくれないんだからッ!」
と 母は言う。
だとしても、だ。初めて3ヶ月が経つというのに、未だに一枚もまともな写真がないのは才能以前の問題だと思う。
ケータイも電話機能しか使えないお母さんに、あんな精密機械は絶対に使いこなせないだろうな…。
取り合えず、寝ようかな……。
あんだけ寝たのにまだ眠いのか。
部屋に戻って、着替え終わったあたしは また直ぐに眠りの世界へと落ちて行ったのだった―――――。


