少し走って、足を止めた。
なんだろ…この感じ…
胃が……痛い…。
「………ッ!」
急にこみ上げてくるもの。胃酸が喉を焼くように通過する。
耐えきれず、あたしはしゃがみ込んだ。まずい…こんな所じゃ、邪魔になっちゃうよ…。
そうは思っても動けそうになかった。
ホントは今すぐ吐いちゃいたいよ… だけど、人目もあるし…
そう思いながら、すぐそこまで来ている胃の中のものを必死で我慢する。
「ぅ…!」
もー…限界かも…
「おいっ!!!大丈夫かッ!?」
あれ…?大和の声が聞こえるような…
「さ……ッ! 長谷先生!!
おい、斐二!鞄 頼むぞ」
「う…今動かさないで…吐きそ…」
体勢を崩せば抑えきれなくなる。
「馬鹿。んなの気にすんな。
我慢なんかしないでいいんだよ!!」
言いながらあたしを抱き上げた。
が。
やっぱり言ったとおり、あたしは彼の胸の中に吐いてしまった…。
そして、そこであたしの意識は途切れたのだった―――――――


