「お客様のお気持ちで頂くものですから…それぞれ、十人十色というヤツですね」
にっこり なんて笑うもんだからッ
「なんか…すみません」
赤面した顔を隠すのに必死になってしまった。
取り合えず千円札を何枚か財布から引き抜いて渡しておいた。
彼が去っていった後、ソファーにどっかりと座る大和が
「アレも結構やり手だなッ」
かかかッ って、悪代官のように笑っているッ!!
「アレって、さっきの人?あたしには親切な人に思えたけどッ」
良い人じゃないか。そう思っていたのだけどッ
「知ってるか?チップって元々の意味は“酒代程度のお金”らしいぞ。外国なんかじゃせいぜい2~3ドルだろ。
日本人って、こういう時に多く渡しちゃうから成金だの何だのって言われるんだ。
んで、
幾ら渡した?」
なんて、ニヤニヤしながら聞かれると不安になるッ
「えーっと、2千円位かな?」
うそ。3千円。
あたしは典型的な日本人らしいッ!!
そして更に
「第一、日本じゃサービス料も宿泊代に含まれてるんだから
払わなくてもよかったんだよ。
それをあのボーイは払うように仕向けた。お気持ちで って言われたら小心者は払うよな~」
って、あたしがトラップにはまった事を笑い飛ばしている!!
「そ…そんなのッ!こんな高いホテルに来たら誰でもそうなっちゃうわよ!
大体、なんでこんな所に連れてきたのよッ!?」
し…ん…
な…何故黙るッ
そんなにいけない事を言ったのか!?
かと思えば
「嬉しくないの?」
なんて、またあたしを困らせてくる。
「嬉しいよ…。嬉しいに決まってる…」
それでも
戸惑っている事に変わりは無い。


