着いたのは、あたしでも知っている 有名な高級ホテル。


ロータリーに止まったタクシーを降りると、ホテルマンが丁寧なお辞儀で迎えてくれた。



「大和…?ここに何かあるの?」



「泊まるんだよ」



「えぇ!?」


だって…ッ!!ここって、一番安い部屋でも一人一泊3万円は軽く越すって聞いた事あったし!


ソレが二人って事は…


「マズイよッ!」


あたし、そんなお金持ってないしっ


ホテルマンに聞こえないようにこっそり耳打ちをするけどッ



「…さなって、ホントバカだよな。


俺が払うんだから問題ないだろ」


って返される!!

すたすたと一人でフロントへ向かう彼を睨みつけた。


幾らお金持ちの息子だからって、そんなお金、大和のご両親に申し訳ないッ!!


迷惑をかけたくない一心で

どうにか泊まらずに済む方法は無いかと模索する!



そして、今日は何だったかを思い出した!!


クリスマスなんだもん。部屋、いっぱいに決まってるよね!!



おバカなあたしはホッと胸をなでおろしたのだけどッ



「いらっしゃいませ。ご予約名は?」


「田原です」



その会話を耳の端に捕らえてしまって…ッ


「二名様ですね。お待ちしておりました」



なんて、にこやかに受け答えをするボーイさんに



激しく動揺したのは言うまでもない!!!