けれど…


そんな悩みなんか、無かった事に出来るほどの言葉を


彼は持っていたんだ。




「お前が居なくても変わらないなんて、あり得ない。


知ってるか?お前の授業にみんなが夢中だってこと。


理解してもらいたくて、必死で授業をしてる事 みんな気付いてるんだぞ…?


こんなに熱心な先生、お前だけなんだよ…」



だからさ。


照れくさそうに大和は続ける。



「だから…そんな悲しい事言うなよ。


みんな、お前が…



長谷先生が大好きなんだぞ!」



俺には負けるけどなッ



最後にそう付け足したのは、“長谷先生”と言った事に対しての照れ隠しなんだろう。


耳まで赤くしている彼を見て、あたしまで頬に熱を持ってきた。



「…本当に、大和は後悔…しないの?」


「…当たり前だ。自分の為に決断したんだから」




そうか-------…



それなら、あたしはその言葉に甘える事にしよう。



彼の精いっぱいの強がり。それを無碍には出来ないよね。





大和は本当に強がっているだけなんだろうと、そう信じていた。


だけど


その考えが間違いだったって事---



前からそう考えていたって事



気付くのはほんの少し後だった。