「お前さぁ…いつもそうやって、頼まれた事を断れないでいるわけ?」
ぱち… いつの間にかこっちを向いて座っていた彼。その言葉に驚いたあたしは動かす手を 止めた。
「そんなこと…」
「無いって言えるの?
本当は俺に会う事だって嫌なんだろ。ここに入る前に断って逃げる事も出来た。
けどそれをしないのは
それほど俺が嫌じゃないか、断ることができない性格だからだ。
今の顔を見る限り 残念ながら前者じゃないらしいから、答えはもう出てる。
そんなに人に合わせて 辛くないのか?」
何、この人。
確実にあたしの痛い所を突いてくる。
「何が言いたいわけ?」
「安本さん。
今日誘われただろ」
何でそれをあんたが知ってるんだ!
「保健室からの帰りに、たまたま俺の前をお前らが仲よさげに歩いていただけだ」
やっぱり心を読まれるのね…
「…関係ないじゃん、柳瀬センセーには」
あたしが誰とお茶しようが、そんなの関係ないよ。大和になら…止めて欲しいけれど。


