振り向くと、薫ちゃんは嬉しそうに笑っていた。



「こんなに嬉しい事はないわ…。


あのね?いつか、有名なデザイナーになったら、一番にさなと大和君と和樹と真希にプレゼントしたいと思っていたの。


その為に今からこっそり練習してたのに」


なのに


「こんなにあっさりその本人に分かって貰えるなんてさ!…あたしって天才なんじゃないのかしらッ!?」


…嬉しそう。

その笑顔が見れて、あたしも嬉しいよ…


それにしても、内緒でこんな事するなんて 薫ちゃんが益々素敵に見える。


きっと相手を思いやる事が出来る人だから だよね。



「さっ、着替えて頂戴!!大学の時とサイズが変わってなかったらぴったりの筈よッ」


「…何であたしのサイズを…」


「あーら。仲間内の情報はみんなインプットされてるのよ?知らなかった?」


その情報がどういうものか、とても気になるのですが。



「もう時間無くなっちゃうんだからッ!早くね!」



逃げるように バタン と扉を閉めながら言うサンタさん。



軽くため息を吐いて、ドレスを手に取った。




漆黒の生地の上には、幾つかのラインストーンが散りばめられていて


大人な感じだけどどこか遊び心もある。



女として成長途中な私にはぴったりだと思った。