「あの時、話終わって階段を下りて行ったんだけどさ。何だか嫌な予感がして。


…以心伝心ってヤツ?」


痣に触れているあたしの手を優しく包み込む大和の手。


…なんて暖かいんだろう…



「お前を守ろうとして、必死だった。やり返されたけど、この一発だけだったんだぞッ?喧嘩なんてした事無かったのにさ」



だけど


「守れて、本当に良かった……」


そう呟いて瞼を閉じた。




今になってホッとしたのか、思い出していたのか分からないけれど


泣きそうなくらいに声が震えていた。



「守ってくれて…ありがと…」



…多嶋君も、伊集院さんを守ろうと必死だった。


好きで好きで


だけど報われなくて。



憤りを感じるのも分からないでもない。



「どうにかしてあげたいな…」



そう呟いたあたしに



「そんなの、お前が気にしてどうするんだ。恋愛感情なんて人に勧められて持つもんじゃないだろ」


だから関わるな


ってお叱りの声が。



「お前はいつも関係ないヤツの事に首を突っ込んでいって、どれだけ悲惨な目にあって来たか
身体で思い出させないと分からないか?」



言いながら、あたしの首に紅い印をつけ始める。