多嶋君の乗ってきた伊集院家が手配したらしいハイヤーで移動する事20分。


オフィス街の中心にその場所はあった。



「何と言うか…凄い ね」



美術館顔負けの考えてる石像が、噴水の真ん中で長考に入っていて。


どう見てもコレ大理石だろう って一目で分かる程に反射しまくっている壁の素材。


「何億かかった家だよ」


なんて呆れる大和の気持ちも分かる。




「観光名所になる位 ここは有名だぞ。知らなかったのか」


へっ って顔であたし達をバカにする多嶋君だけど


「顔引きつってるぞ」


きっと知っていても入った事はないのだろう。



ここは会社かッ!!という突っ込みも心の中でとどめておいて。
受付に行き、薫子さんが来ていないかどうかを尋ねてみたのだけれど…


「申し訳ありませんが、ご家族の事は一切お教えできません」



と 軽くあしらわれてしまった。



「では、面会を。取り次いで下さい。多嶋と言えば分かる筈です」



強気に出た彼。


受付嬢も怪訝そうにしていたが、渋々受話器を持ち上げてくれた。



はぁ…。普通はさ―。お宅訪問ってピンポン押したらすぐ入れるもんじゃないの?


中に入るまでの道のりが長すぎてげんなりだ。