彼は大和をひと睨みすると、ミドリさんに


「俺の責任ですから」


と申し訳なさそうに言い、部屋を出て行こうとしたのだけど…


「他に言う事はないのか?」


大和の挑発的な声にピタリと足を止めた。



「コイツに何したか、もう一度殴られないと分からないか?」


「……」


謝れという大和。


だけど…


「…悪いのはそっちだ。謝る必要なんかない」


って…


恨みを籠められた視線があたしを捕らえる。



「お前…」

「大和!良いから…ね?」


殴りかかろうとする大和を静止した。


「多嶋君。あたしが聞いた事、あなたにとって嫌な事だったら謝る。だけど、自分にも非があるって分かってくれるときが来たらその時は

素直になってほしい。


あたしなんかに謝らなくていい。


だから、思っている事を素直に言えるようになって欲しい。ね…?」



「……やっぱり嫌いだ、先生なんて」



もう一度睨んで 部屋を出て行ってしまった彼。


「良いのかよ」


納得がいかないという大和に微笑んで


「良いの。きっと分かってくれるから」



願いも込めて そう呟いた。