「大和君なら怪我の治療して、すぐにどこかに行ったわよ…?

さなが目覚める頃には戻るから って。もう支払いも済ませたみたいだし」


「じゃあ、この縫いぐるみは誰が持ってきたの?」




真希は口元に手を当て、考え込むような格好でいたかと思うとすぐに



「あ!そう言えば大きなクマのぬいぐるみを抱えた男の子を見たのよ。高校生くらいなのに恥ずかしくないのかなーなんて思ったんだった!大和君ではなかったわ」



と大きな声で報告してくれる。



「高校生…?メガネ、かけてた?」


あたしにクマなんか持ってくるような人は、国枝君しか考えられない。



だけど。





「ううん。


メガネじゃなかったわよ。


…あぁ、何だか誰かに似ているような気がしたんだけど、あの爽やかさが




和樹に似てたのよね!!!!」






和樹に似ている高校生…?



「制服も大和君と一緒だったわよ?顔に怪我してたから、喧嘩でもしたのかと思って記憶に残ってるのよねー」





「あいつだ…!!!!」



あの多嶋があたしにクマを持って来たんだ…!


でも、何故?



大和のメッセージも添えられたヌイグルミを、何で多嶋が持ってくるの?


嫌な予感が、する。



「…ゴメン。あたし行かなきゃ…!!」


「え゛!?だって、あんたまだ…」



真希の言葉も聞かず、バックを掴んで走って部屋を出た。



背中から


「後で説明しなさいよーーー!!!???」



と叫ぶ声を聞きながら。