大和がまたベッドへ腰かけたのを見計らって
国枝君が長い溜息と共に打ち明けた真実。
「…前から決まっていた縁談の話、何とか断れないかと思って。
今まで世話になってきた分、恩返しできる事ならなんでもしたいと思ったんだけど
縁談の話しだけは嫌だった。
俺は、両親のようにきちんと恋愛した後に結婚がしたい。
自分の目で 耳で 心で 選んだ女と結婚がしたいんだ。
だけど
今まで反抗してこなかった分、彼らになんて言ったらいいか分からなかった。
だから、あんな勘違いを利用して
『自分達が決めた相手とだけの結婚を強いるのでなければ、結婚相手くらい自由に選ばせてほしい』
そう伝えたかったんだよ…。
…昔から、過保護だと思う位に心配性な二人でさ。
全部自分達で俺の将来まで決めてしまって。
こんな形になってしまったけれど自分の気持ちを伝える事が出来て
センセーとの事は勘違いだったと誤解を解いたうえで納得してくれたよ。
巻きこんでしまって本当にすみませんでした」
深々と頭を下げる国枝君。
…だけどね、納得してない事があるんだ……。
それは……
「…なんでお前はそんなに気をつかってるんだ?」
あたしと同じ考えの大和の問いに
彼の肩がピクリと動いた。


