「おかあさん!誤解を…」


「あらー!斐二くんと親子になるのも悪くないわねぇ」


あなたもですか――――!!!??



国枝君は知れっとした顔でケーキを食べてるし!


コイツ、縁談を破棄させたいからってこういう真似を…!!!



この後、3時間にわたって地獄のような時間を過ごす羽目になった。






「さて、ぼちぼち帰るとしよか」


「せやね。長居してもーたしおやかまっさんでした」



「……五月蠅くしてごめんなさいってさ」



お前は通訳か!


今は全てのものがムカつく!



「ほんなら、またご挨拶にうかがわさして貰いますー」



「ほな、おおきに」



はんなりと去っていく…


かと思いきや。



「あんた、さいならのちゅー位したらどうなん?」


さいならのちゅー!!!



何ってことをッ!!


それだけは…それだけはかんにんー!!!



そんな心の叫びは無駄に終わり、



「じゃーね、センセ」



と国枝君は、ほっぺたに唇をつけてきた。



きゃぁーーー♪



騒ぐ両親。にやにやする国枝君。


卒倒しそうなあたし。そして…




「随分騒がしいな」




隣の庭から顔を出す彼。



「大和…!!」





今世紀最大のピンチがあたしに降りかかってきたのだった。