彼は大和を殴った。










あたしが駆け付けた頃にはもう国枝君は男の先生に取り押さえられていて



大和は口内を切ったのか、口から血を流しながら壁に寄り掛かるように座っていた。




傍には泣きながら伊集院さんがいる。





「お前、よく考えてから物を言うようにしろよ」



両腕を抱えられ、引きずられるように現場から遠ざけられる国枝君が言った。




それはどちらに向けた言葉なのか


あたしには分からない。






そして、あたしの傍を通る時



「センセー、ゴメン」




そう聞こえた気がした。