「ここで って、誰かとお知り合いなんですか?」
「知り合いってか、親よ。
…知らなかった?ここの理事長、あたしのお父さんよ」
………
「マジ?」
「マジ。」
えええぇぇぇぇぇええ~~~!!!!??
体育館にあたしの声が響き渡る。
他に作業してた先生が驚いて横断幕を外してしまった。
「あーあ。あんたのせいで仕事が増えたじゃない」
「ごめ…ッ…ってか、なんでそんな事黙ってたんですかぁ…」
聞きながら作業を再開した先生に ごめんなさい と謝る。
「だって聞かれなかったもの。
それに、遠ノ峯なんてそうそうある名字じゃないし、理事長と一緒なら感づくのが普通よ」
だからあんたは普通じゃないのね
なんて馬鹿にされても、なんだか怒る気もしなかった。
そして、今一番聞きたく名前まで出される羽目になったせいで 思考が完全にストップする。
「因みに柳瀬さんも理事長の血縁よ。
大きな声じゃ言えないんだけど、養子なの。…あたしが彼の存在を知ったのは、彼がこの学校に来た1年前。
養子と銘打ってはいるけれど、隠し子だったのよ」