そんなふしだらな思考をあたしが抱ええいるとは思ってもいないであろう国枝君は
手を頭に置いたまま、優しい顔つきで
「とにかく。大事なとこでは素直になれよ」
なんて言うもんだから
あたしも笑顔で
「わかったよ」
って思わず返しちゃったんだけれどッ
「…鬼の居ぬ間になんとやらってわけか？
お前らいい度胸だな…」
声の主を探すと 教室の、入口にもたれかかる大和の姿が。
きっと彼は浮気現場を目撃したと思っているのであろう。
声とは裏腹に笑顔を保ちながらこちらに歩いてくる鬼の姿を見つめながら
後悔の念と、罪悪感に襲われるのだった。
