「何時から起きてたのっ!?」


「センセーが来た時から。五月蠅い声で起きた」


ギロリとさっきの子を睨む。


………もしかして寝起きの彼って、怒ったときの大和ぐらい怖いんじゃ…ッ!!



「あ、俺持病のヘルニアが…!!保健室に行ってきますーーー!!!」




だだだっと廊下を駆けていく笑顔の子。


ヘルニア?走ってんじゃん。



「……で?提出物取りに来たんでしょ?」


「え、あ、そうそう。


えと…でも、本来の目的がありましてですね…」



予想外に乱雑とした机の中から、くしゃくしゃになったプリントを取り出す彼に


何故だか敬語で話しかけていた。




「はい。



…アレでしょ?えーと、トリモチさん?」


「白鳥さん。…どうやったら間違えられるの…。


言ってないよね?」



彼は答えないまま 

鞄を机の上に出し、中から最新の音楽プレイヤーを取り出して



…聞いた。



……ホント、行動が読めないよ。



「言ってないよ。…あんたが言わないで欲しいんだろうなーって思ったから」



ほっと息を吐く。


良かった。やっぱり彼は言いふらしたりする人じゃ…



「それってどういうことか、分かる?」



「へ?」




…この時あたしは、とてつもなく間抜けな声を出していたに違いない。






「好きだってことだよ、“さなちゃん”が」






夢であるなら、覚めて欲しい。