「をいをいをいをい…。失礼だな。

いいか?何事にも不可抗力ってもんが…」

「御託は良いから。最初から聞いてたの?」


すごんだあたしに、柳瀬さんは気まずそうな顔をしながら「途中から」と答える。


「だって声でけーよ、あの女の子。

図書室まで丸聞こえだったぞ」



「うそ…!他に誰かいた?」


「んー…それがさぁ」


「教えろ!」



なんなのよ!もごもごして…!!こっちはかなり焦ってるんだ!


「国枝が、寝てたけど」



「国枝君?そう…ならいいんだけど」


彼なら誰かに言うとは思えない…けど。…まさか大和に言うなんて事はないよね…?



「田原に言うかな?」



あたしと同じ心配をしていた彼。ちらりと腕時計を見ながらあたしに尋ねてくる。



「分かんない…けど、くぎ刺しといたほうがいいよね…」


「んー。そうだなー。放課後、田原を保健室に呼びつけてやるから

その間に言っとけば?」


おお!!たまには役に立つ考えも出来るのねッ



って思ったけども。



「…まさか、大和と二人っきりになりたいとかじゃないでしょうね…?」


「え゛!?ななな…何で俺がそんなことしなくちゃならないんだよッ!?

第一俺は女好きで…ッ」


あー…自覚はあるのかな?


全く、大和の魅力は女好きにまで通じるのか…




そろそろ職員室戻らないとなっ


と慌てて準備室から出ていく柳瀬さんを見て



あたしはまたしても大きなため息を吐く事になったのだった。