何を思ったのか、伊集院さんが群がる男子を掻い潜り
向かった先は
真中君の所だった。
「あなた、お名前は?」
「へ…?あ…あのっ…ま…真中です!!!」
どもりにどもった彼がやっと名前を告げると
「そう、真中君。
伊集院です。宜しくお願いしますね」
言いながら彼女は、教科書を握っていた彼の手をとり、ギュッと握った。
見る見るうちに真っ赤になる真中君。
それを見る男子の目がギラッギラに輝いていて、今にも襲いかかりそうだった。
真中君の手をそっと離した彼女が次に向かったのは
寝ている国枝君の所だった。
「あの…スミマセン…」
「………」
「あの…」
「………」
起きない。
悲しそうな顔を見せる彼女。すると…
「そいつ昨日ゲームやりまくって寝たのが4時過ぎだから起きねーよ」
と、目線は教科書の端っこに向けたままの大和が口を開いた。
「まぁ…そうでしたか。それは申し訳ない事をしました。
あの…あなたは?」
首をかしげて大和のもとへつかつかと歩み寄る伊集院さん!
ま…まさか
大和にも真中君にしたように手を握るんじゃないだろうなッ!!!


