その申し出に国枝君は


「有り難いですけど、俺知らない人と何話していいか分かんないし。それに疲れて帰ってきてるんじゃ…」


そんなに気を遣わなくても、明日お父さんの会社工事で休みなんだけど。


それを彼に伝える間もなく…


「そーだそーだ。断れ。お前如きがお父さんの車に乗るなんて図々しいぞ」


国枝君の背後で邪念を送っている、細長いオコチャマ。



更に彼は


「家に泊まっていけば良いじゃん」


と。



「…俺、着替えたい。ゲームしたい。部屋に閉じこもりたい」



「何だソレ。新手の引き籠りか?

今から家に帰る移動時間があれば、その分うちでゆっくりできるんだぞ?」



「じゃあ泊まる。


夕飯何?」



「…知るかよ」


…この二人、結構気が合ってるんだな…。大和も泊まって欲しそうに見える。


「じゃあ明日学校で。早く寝なさいよ?」



「はいはい。明日なー」


門を開け、中に入って また閉めたその時。



「さな」


「へ?」



顔を上げると同時に、大きくて冷たい手が頬を掴み、上向きに固定する。


そして




むちゅーーーーーーーーーー





「………」




どぅああぁあぁぁぁぁぁああ!!!!



「何すんじゃボケぇええ///!!」


鳩尾に一発喰らわせ、コークスクリューを繰り出す…が、ソレは寸での所で避けられてしまった。



「…いい…パンチ…してんじゃねぇか…」



門を片手で掴み、かがむ様にして腹を押さえる大和。