話してみると、以前抱いていた嫌悪感というか…苦手だと思っていたのがどっかに行ってしまうくらい話しやすかった。
雰囲気が少し大和と似ているせいかもしれない。
ということで、あたしもその復讐に乗ってみることにした。
腕を組んだ途端、後ろの茂みでガサガサと音がしていたからきっと
大和が怒りのあまり飛び出そうとしたのだろう。
彼らは“Y”にバレないように、あたしが出て行ってから少し後に家を出てくる計画だった。汗をかくことを嫌う大和がいるので、もちろん車で。
先回りしてこの辺りに隠れていたのだろう。
必死で大和を止める柳瀬さんを想像して また吹き出した。
「何笑ってんの?」
「いや、何でもない…プクク…」
「変な人だな。取り合えず歩こうぜ。立ち止まってるのは良くない」
それは“Y”に会話を聞きとられるのを警戒しての事。
彼の歩幅に合わせるのに必死になりながら桜並木を歩いた。
半分くらいまで来たところだろうか。
急に立ち止まった国枝君。
「…。センセー。俺の前に立って、首に手をまわして」
「はァ?」
「良いから早く」


