大和の家を出て、少し速足で歩く。



向かうのは駅とは真逆にある、だだっ広い公園。中に入るわけじゃなくて、そのすぐ側にある桜の並木道に向かえと指示された。



そこは住宅地と離れていて 少し薄暗いせいか殆ど人がいないし、通るのはおじいちゃんやおばあちゃんが散歩してるくらい。若い人は、もう少し離れたところにある、水族館と隣接した公園に行くから

学校の生徒に合う心配もない。



それを見越して、大和はそこで“Y”と決着をつけるらしいんだけど


今から誰に合うのか、一切聞いてないせいか不安で手が震えた。


何事もないまま暫く進み、



歩きながら腕時計を見る。



これも指示通りで。公園が近くなったら腕時計を見て、更に歩みを速めろ との事。




息を荒くしながら、公園の入り口を通り過ぎ 並木道へと更に進んだ。




犯人との何の接触もなく、言われた場所に着いた安心から膝に手を付き肩で息をした。



何でこんな目に合わなきゃいけないんだろ…はぁ…




すると突然、頭の上から声がした。



「……遅いぞ。ずっと待ってたんだから(棒読み)」



「は?」



見上げると、見覚えのある顔が。



「えっと…国枝君…?」


たしかそんな名前。あたしが倒れた日に大和から紹介された、知的な(想像だけど)イケメンだ。