「すっげー!!」



声を発したのは出来るまであたしの顔を見ないようにしていた柳瀬さんで。



目をキラキラさせながら「さっすが高級化粧品」と、アイシャドウをまじまじと見ている。


でも、確かに。自分で言うのもなんだけど…かなり可愛いと思う。というか、美人になった といった方が合っているのかもしれない。


「気に入ったか?」


今度は髪の毛をコテで巻きながら問う大和。


「うん、いつもと全然違う感じ」



「薫さんのとこで教えてもらったからな」



…へぇぇ。メイクは薫ちゃんじゃなかったよね?きっと、可愛い女の人から手とり足とり腰取り…


いや、別に気にしてなんか居ないし?


…うん。




「何暗くなってんだよ。メイク担当はオカマだぞ」


「いや、それはそれでショックというか…」



悩めば悩むほどドツボにはまるので、ここらで止めることにした。



それにあたしの隣で、今度は柳瀬さんが自己流のメイクを披露し始めたから。余りに酷いメイクに、そっちに気を取られたのだった。




「はい、こっちも完成。服に合わせてメイクしたからそのままで。


後は、ある場所に行ってもらう。ちょっとした演技付きでな」




「それは、誰かと会うってこと?さっき電話してたし…」




「行ってからのお楽しみ」




うう…なんだか怖いんですけどー!!