「一万五千円くらい」
「え、そんなもん?」
なんだ…。さっき確認したらカップは4つあったから、割る4で、三千…
三千…いくらだ?
で…でもまぁ。それ位ならすぐにでも返せるしっ!!
だけど…
「勘違いしてる顔だから言っておくけど。
4つでその値段じゃない。カップとソーサーのワンセットで一万五千円だからな」
「なにぃぃぃい!?」
「…有名ブランドがそんなに庶民に優しい値段なワケがない」
それは…そうだけど…ッ
あまりにも自分のなかにある“現実”からかけ離れたお値段に、白目をむいて倒れそうだ…!!
「なんでカップ如きにそんなにお金かけるんだろう…」
あたしは自慢じゃないけど、飲めればプラスチックの百円カップでも全然良い派で。
服ならまだしも、壊れるような物をどうしてブランドで揃えなければならないのか分からなかった。
コーヒーを飲みほした大和がソファーに寝転びながらポツリと呟いた。
「…高ければ自慢できるし、その分質も良い。
それに、高いと分かっているものは大事に扱うだろう?だから物を大切にしようと思えるんだって、母さんは言ってた。
その考えが常人に通用するとは限らないけど」
…まぁ。確かにそうかもしれない。


