…………




長く 重い沈黙。




それを破ったのは柳瀬さんだった。



「…で?いつからお前ら俺を騙してた?最初からだよな?

保健室で会った時にも他人のフリしてたし」




「……騙そうと思ってしたことじゃない。それ位分るだろ?


今の俺とさなの立場からして、簡単に“恋人同士です”なんて言えるわけねーだろーが」



「だとしても。俺がさなに好意をもってる事は分かっていた筈だ。


それを知っていて、影で笑ってたってわけか?」



「違う!!」



声を荒げて言い合う二人に、耐えきれなくなった。



あたしが…話を付けないといけない。



きちんと言えるか不安だけど



直ぐ側には大和が居る。それだけで、救われる。






「聞いて…。



柳瀬さんの気持ち、本当に嬉しかったよ。



あたしが不安になれば優しくしてくれるし


心にも響く言葉があった。



…あたしが断れない性格だって事に気づいてくれた時

“そんなに人に合わせて 辛くないのか”


って言ってくれたよね。


それでハッとしたんだ。



この人は、本当にあたしを理解してくれてるんだって。


すっごく、すっごく嬉しかった…




だけどね」



掌の中の滴をぎゅっと握りしめて



深く息を     吸った。