「綾さん。また俺の店の酒をみんな空ける気ですか?」


はは… ヤスと呼ばれた店長がそう言っているんだけど…


目が笑ってない。


綾さんは酒豪なのだろうか。



「売上に貢献してあげてるんじゃない。有難く思いなさいよ?」


「アリガトウゴザイマス。

貢献して頂いたおかげで、次の日店を開けれなかった事もお礼を言わなければいけませんね?」



バチバチバチッ


火花が飛び散ってる気がするのはあたしだけ?



「あのぅ…」


消え入りそうな声で呟いてみる。


「さなちゃん。行くわよ」



睨み合いながらあたしの手を掴んで、遠ノ峯先生は奥の方に進んでいく。


「あの、仲 悪いんですか?」



遠慮がちに尋ねてみた。


「悪いってもんじゃないわよ。

だってあいつ、あたしを振りやがったんだから」



「どぅえぇ!?」


彼女の顔は屈辱に歪んでいる。




「何度アプローチしてみても誘いにすら乗ってくれない。

それに腹が立って、つい告白しちゃったのよ。勢いでね。

そしたら ”無理です”よ!?


振るにしても もう少し言い方があると思わない!?


それにこのあたしが好きだって言ってやってる事を光栄と思ってないなんて…!



あ~~~!!!ムカつく!


今日も飲み干してやるっ!!」




…地雷フンジャッタカモ…