握っていた手に、軽く力が入るのを感じた。






「さ、家に入って」


「え?」



もう家に着いていたのか。




こんな、手を繋いで外を歩けるのも暫くないだろう。そう思ったら 悲しくなった。


「…手、離してくんなきゃ俺帰れないんだけど?」


「……家上がって行きなよ」


「この格好で?ゆいかさん達が帰ってきたら笑い物だぞ」


「………」



それでも。あたしは側に居たかった。不安なせいもある。だけどそれ以上に…


「淋しいの?」


「………ん。」



やっとの事で教師になれた。

それはすごく嬉しいけど…


大和と学校が一緒じゃなかったら…バレずに一緒に居られたかもしれないのに。



最近はずっとそればかりを考えてしまっていた。



だけど、大和は違っていたんだ。





「バカだな、さなは。俺が今のガッコにしたのは、お前の為なんだぞ?」


「え?」



ふ…と笑った顔は、なんだかとても嬉しそうで


悪戯が成功した幼い少年の様な表情だった。