「この顔は俺しか知らない」



「…へ?」



ツン と鼻の頭をつつかれた。


「さなの、他のやつは知らない顔。快感に酔っている時の顔がもー、たまんないね」



言いながら細く長い指であたしの頬を優しく撫でてくる。


もう…彼に触れられると、そこから熱をもってくるようで…。心地良いとは思っていても、ドキドキと心臓が暴れまくっていた。


「……ね、このままここでしちゃおうか」


「……ふぇ?」


「なーに驚いてんの?いいじゃん。誰も居ないんだし」


「い…いや、待って下さい」


「…さなちゃんは、俺をこの状態で放置する気?」


ほら と指さされたところには目を向ける事ができなかった。


たまに発するオヤジな言動は控えて欲しい。ホント。



「知らないもん!大和が勝手にキスしたからでしょ?」



「じゃあ、勝手に気持ちいいって顔したお前にも責任はある!!脱げ!!!」



いやいやいやいや…


どう考えたって今のは“無い”でしょー!!?



「っていうかさっ!電話してきたの誰だろうねっ!?」



話題を逸らす。だって こんなに白昼堂々と しかも自分ちのソファーで!そんな事出来るほど神経が図太くなかった。



大和は暫しの沈黙の後



諦めたのか大きなため息をついて、あたしの隣に腰をおろした。




「電話?」