「何で?」


「何でって…大切なパーティーなのに…社長がいなきゃ…ダメでしょ?」


少し上目遣いになってしまったかもしれない。

身の危険を感じて、少し瞳も潤んでたかもしれない。


「社長…?お願い……」


でも、これはあたし……
誘ってたわけじゃないんだけど──。

ただ社長の立場を心配して、ホテルに引き返そう?…って、言いたかっただけなのに。


それなのに社長は。
大きな勘違いをしてしまった。


あたしが……
知らぬ間に、社長の“やる気”を更に煽ってしまったんだ。



「光姫…お前……」


分かってくれた?社長の立場…思い出してくれた?


「しゃ……」


口を開いた瞬間、社長の熱い唇が重なる。


「…んんっ…!?」


深く深く…熱い舌を絡めながら、ゆっくりとドレスの中に手を忍ばせてきた。


「…!?…ふっ…」


このままじゃマズイ──

社長は完全に“その気”になってる。


必死に両手で、ドレスの中の手の動きを止めた。


でもすぐにあたしの両手は社長のもう片方の手で頭上へ───


これじゃあたし……
抵抗する術がない──!