その日は雨が降っていた



ずぶ濡れの女子高生が電車に乗る

その子は真面目そうな顔に似合わず
気怠そうに髪をくしゃくしゃかきむしり
メガネを袖で拭いた


僕は胸を打たれて
その子を見ていた


カバンから
しなしなになった小説を取り出し
頬杖をつきながらそれを読み始めた





4駅ほどしたところで
彼女は立ち上がり
電車を降りるや否や

タバコに火をつけた



僕はそれを見ていた。